H1title

田母神俊雄公式ホームページ

Toshio Tamogami Official Site

北朝鮮のミサイル発射の馬鹿騒ぎ

2012-04-11  メールマガジン「志は高く、熱く燃える」より

北朝鮮がミサイルを発射するということで大騒ぎをしている。日本のマスコミだけを見ていると、これが今国際政治の最大の問題なのだと勘違いする日本国民も多いことだろう。しかしこれは、大騒ぎをする必要など全くないのである。ミサイルは、ロシアも、中国も、韓国も、台湾も、全ての国が発射実験を行う。しかし、他の国がミサイルを発射するときはなんら問題にならないが、北朝鮮のときだけは大騒ぎになる。何故、北朝鮮のときだけ大騒ぎになるのかと言えば、大騒ぎすることによって利益を受ける人たちがいるからだ。しかし、他の国のミサイル発射と同じで、どうせ何事も起きないことはあと一週間もすれば明らかになるであろう。
 
いまイージス艦を動かしたり、ペトリオットPAC3を起動展開させたりしているが、これらは軍事的な必要性に迫られているのではなく、極めて政治的な動きなのである。これも福島の放射能騒ぎと同じで、危機を煽って利益を得ようとする日米中や我が国マスコミの思惑が一致するから大騒ぎになるのである。
 
アメリカは、我が国にミサイル防衛体制を強化させたいと思っている。これはアメリカが親切心で言っているわけではない。アメリカの国益のために言っているのだ。日本がミサイル防衛体制の強化に走れば、アメリカの軍需産業は儲かるし、本来、日本が持つべき攻撃能力を持つことにカネが回らない。日本が攻撃を受けたときにアメリカに反撃してもらうということになり、我が国の対米依存度は高まることになる。これがアメリカの狙いである。アメリカの対日戦略の基本は、日本の軍事的自立を阻み経済的に意のままに操ろうというものだ。また、アメリカ外交の基本は分割統治である。極東のこの地域で日本、台湾、韓国などが一つにまとまり、地域が安定することはアメリカにとって望ましいことではないのだ。北朝鮮はみたいな安定を乱す国があって、安定のためにアメリカが必要だと、これらの国が思ってくれることがアメリカの国益なのである。
 
我が国はといえば、野田政権はアメリカの動きに乗っかって対米関係を良好に維持しようと考えているであろう。また危機を演出することによって、自らの政権に対する厳しい国民世論をかわそうとの思いもあるだろう。必要なときには民主党政権もきちんと行動するということを国民に訴えることが出来る。どこからも文句が来ないような状況だから行動しているだけだ。更にごく一部の人は自衛隊の石垣島展開などによって国民の自衛隊アレルギーを緩和したいと思っているかもしれない。

中国はといえば、北朝鮮を擁護しながら、北朝鮮の鉱物資源開発権を独占したり、中国東北部において北朝鮮の労働力をタダ同然で使える利権を確保しようとしていると思う。一方で日本などに対しては北朝鮮を制御するためには中国の力が必要であると思わせ、中国の国際社会におけるステイタスを誇示しようとしている。
このように北朝鮮のミサイルの脅威を煽ることは、日米中三国にとって利益があるのである。三国の思いはそれぞれ異なっているが、お互いにそれを隠してミサイルの脅威を騒ぎ立てているとしか思えない。また日本のマスコミも今回の騒ぎによってテレビの視聴率が上がるし、新聞や週刊誌などもどんどん売れるはずである。デフレで経営が苦しいマスコミも業績を向上させる絶好のチャンスである。

ツイッターなどで、今回の北朝鮮のミサイル騒ぎは軍事的な必要性ではなく、極めて政治的な行動だと言い続けた来た。あと1週間もすれば何事も起きなかったことは証明されることと思う。一方この馬鹿騒ぎの陰で、我が国の安全保障上重要な中国の尖閣周辺における活動、韓国による竹島実効支配の強化、慰安婦の碑建立問題などが隠されてしまう。消費税増税、公務員削減などもいまのデフレの状況下では誤った政策である。しかし、そういった大問題が国民の意識から遠ざけられてしまうことを私は心配している。北朝鮮ミサイルの騒ぎは、福島原発の放射能問題、新型エンフルエンザの問題などと同じで、脅威の実態がないのに一部利益を受ける人たちが騒いでいるだけなのである。
 
 
 
 


  
 


イスラム国日本人拉致事件に思う

2015-01-22  Amebaブログ「志は高く、熱く燃える」より

 
イスラム国が日本人湯川遥菜さんと後藤健二さんを拉致し72時間以内に身代金2億ドルを支払わなければ殺害すると日本政府に揺さぶりをかけている。安倍総理はちょうど中東訪問中で、イスラエルからのメッセージで、「人命を盾にとって脅迫することは許しがたいテロ行為であり、強い憤りを覚える。2人の日本人に危害を加えないよう、直ちに解放するよう強く要求する」と述べた。強い憤りを覚えると言ったことはテロに対する戦いの決意表明であり、これまでの歴代総理のコメントと比べれば、評価されてもよいのではないかと思う。
日本政府には、2人の人質を助けるために全力を尽くしてもらいたいが、そのためにイスラム国側に裏で金を渡すようなことがあってはならない。彼らに利益を与えることは絶対に避けるべきだ。テロとは戦わなければ、今回2人が助かったとしても新たなテロがまた起きてしまう。より多くの人が犠牲になるのである。
 昭和52年(1977年)9月28日、パリ発東京行きの日航機が日本赤軍にハイジャックされ、バングラディシュのダッカに強制着陸させられた。乗員乗客百数十名を人質に取り、日本赤軍は、身代金16億円と監獄に拘留中の日本赤軍9名の釈放を要求した。当時の福田赳夫総理は「人命は地球よりも重い」の名言(迷言?)を残し、出獄希望の6人の日本赤軍メンバーを釈放し、16億円の追い銭をくれてやった。これによって乗員乗客は無事解放された。しかし北朝鮮がこれを見ていた。本事件の1ヵ月半後の11月15日横田めぐみさんが拉致された。そして今、北朝鮮から帰国している曽我さん、蓮池さん、地村さんは、翌昭和53年に拉致された。さらにその後数百名にも及ぶ多くの日本人が行方不明となった。北朝鮮が、日本は人質を取って脅かせばカネを出すと思ったかもしれない。
 これと対照的な対応をしたのが西ドイツである。ダッカのハイジャック事件の2週間後の10月13日、アフリカのモロッコからスペイン・マルヨカ島経由で西ドイツのフランクフルト・アム・マインに向かうルフトハンザが、同じようにドイツ赤軍にハイジャックされた。航空機はソマリアのモガディシュに強制着陸させられた。ドイツは犯人たちと交渉しながら特殊部隊投入の機会を探っていた。そして遂に特殊部隊を投入し犯人4人をすべて射殺した。このとき機長が1名犠牲になったが、その後西ドイツではテロリストたちによって拉致されたドイツ人は1名だけである。これも無事救出した。
 日本とドイツのハイジャック事件に対する対応の違いが、その後の日独に対する拉致事件の発生数の違いになっているのではないかと思う。日本では1千名にも及ぶ拉致と思われる行方不明者がいるのに、西ドイツではたったの1名だけなのである。だからテロには絶対に屈してはならない。
 日本ではマスコミが、安倍総理がイスラエル訪問をしたからテロが起きたとか、軍を投入して救出するとアメリカのように年中テロと対面することになるとか、またぞろ何もしないのが一番のような意見がまかり通っている。そのような意見はテロを誘発することに気がつくべきである。日本国民を1人でも拉致したら、犯人を地の果てまで追いかけても殺害するという国家の強い意志が明示されることが必要である。それが日本人に対するテロを未然に抑止するのだ。
 
 
 
 


 
 


アメリカ信仰から抜け出そう

2013-07-26  amebaブログ「志は高く、熱く燃える」より

国際政治の本質は富と資源の分捕り合戦である。第二次大戦までの世界では、軍事力を直接使って富や資源を分捕りに行った。しかし第二次大戦終了後は軍事力を直接使うことは困難になった。その代わりとして情報操作をして、ウソ、デマ、捏造の情報を流す、自分の国が得をする国際システムを作る、条約を結ぶなどにより、一応、相手国も合意をさせて、合法的に富や資源を分捕るということが日常的に行われている。現代は情報戦争の時代なのである。
 
我が国は、この情報戦に大変弱い。我が国には「うそつきは泥棒の始まり」という格言がある。日本人の間では、嘘をつくのは絶対に悪いことなのだ。しかし国際政治の場では嘘に騙される方が悪いのだ。国内ではお人よしでも十分に生きていけるが、国際社会ではお人よしは騙されるだけである。「日本列島は日本国民だけのものではない」と言った立派な総理大臣がいたが、これを言ったら日本列島を中国人にくれてやるといっているに等しい。
 
日本はどこの国から一番騙されているのか。それは多くの人が意外に思うかもしれないが、同盟国アメリカではないかと思う。

日米安保日米安保は我が国が攻撃を受けたときに、アメリカが自動的に戦争に参加して守ってくれることは決めていない。日本を守るか否かはアメリカの自由意志にまかされている。だからアメリカ大統領が日本を守ると決心して、米軍に行動を命じなければアメリカ軍は日本を守るために行動できない。そして大統領が決心をしても、二ヶ月経つとアメリカ議会の同意を必要とするのである。しからばアメリカ議会がいつでも日本を守ることを議決してくれるか。反日法案が年中成立するアメリカ議会にそれを期待することは無理である。だから日米安保はあくまでも抑止のためのものでしかない。抑止が破綻したときは機能しない確率が高いのである。しかし多くの日本国民はそのことを認識していない。
 
「北朝鮮の金正恩、イランのアフマデネジャド大統領は核武装をしようとしている気狂いである」というような報道がよく行われている。しかし、一国の指導者になる人が、気が狂っているというようなことがあるのだろうか。多分そういう人は指導者にはなれない。金正日の料理人だった藤本健二氏によれば、金正恩はごく普通の好青年だという。彼はまだ若いので、国際社会のことを十分に分かっているかというと、それは分かっていないかもしれない。しかし好青年だというのは、多分、当たっているのだろう。
 
 
日本が第二次大戦までの世界で、アジア諸国を侵略し、多くの国に迷惑をかけたというのも、戦勝国アメリカによって情報操作され、日本国民に植え付けられた嘘である。日本はアジア諸国を侵略したのではなく、白人国家の植民地であったアジア諸国を解放したのだ。大東亜戦争は、アジア諸国の解放戦争だったのである。これは欧米の歴史学者の大勢が言っていることである。しかし、第二次大戦後の日本では、アメリカが原子爆弾を落として、東京大空襲をして無辜の日本国民を大量に殺害したことも忘れ、アメリカによって民主主義を与えられたと、多くの日本国民が思わされている。
 
侵略をし、残虐行為を働いたのはアメリカなど白人国家なのだ。
 
総理大臣になった村山富一なども全く騙されており、例の村山談話などを出すことになった。これがいまの日本をどれほど苦しめているのか分からない。そして日本国民の多くが日本を守ってくれると信じているアメリカは、日本が村山談話、河野談話を見直すことには、全力を持ってこれを阻止しようとしている。そして日本は自分の国を自分で守る体制をいつまでも作り上げることができない。当たり前のことであるが、アメリカが、心底、日本の発展を考えることなどあり得ない。アメリカはアメリカの国益でしか動かない。
 
アメリカ発の市場原理主義、株主資本主義、規制緩和なども、この二十年間、絶対に正しいとされて日本型社会を壊すために利用されてきた。小泉純一郎や竹中平蔵は、アメリカの尖兵として、日本ぶち壊しのために徹底的に利用された。二十年前よりGDPが減っている国は日本だけだ。アメリカは絶対に正しいと信じ込まされて、遮二無二アメリカに迎合してきた結果である。この十数年我が国は、デフレ下でデフレ対策をやらずに、インフレ対策をやってきた。デフレが加速し景気は全く回復の兆候を見せなかった。しかし安倍総理は、デフレの真の原因に気がついた。デフレは第二次安倍政権の下で次第に修正されていくことだろう。それにしても二十年間も騙され続けていた。
 
アメリカが、世界の非核化に向けて動き出していると思わされている日本国民も多い。だから北朝鮮の核武装阻止に、六カ国協議などでアメリカは頑張っているというわけだ。アメリカは北朝鮮の核武装など恐れていない。北朝鮮がアメリカに向けて核ミサイルを発射するわけがない。それは北朝鮮の自滅を意味する。また核兵器は、元来先制攻撃用の兵器ではない。核戦争には勝者はなく、戦えば共倒れである。だから核武装国が他の核武装国に向けて先制攻撃をすることはあり得ない。核兵器は徹底的に防御用の兵器なのである。
 
アメリカが恐れているのは日本の核武装なのだ。日本が核武装をして国際社会で発言力を持つようになることがアメリカにとっては大変に困ることなのだ。北朝鮮の非核化に向けて議論をすればするほど、我が国が核武装をしたいと言い出すのは困難になる。先般は、アメリカで北朝鮮非核化のための日米韓の局長級協議が行われた。アメリカの狙いは北朝鮮の非核化ではない。この協議によって、日本が核武装を言い出すことがないようにすることを狙っている。
 
もうそろそろ日本国民も、アメリカ信仰から目覚めなければいけない。アメリカは、アメリカのためにだけ行動する。そしてアメリカは、よく間違いをする国だということを認識すべきである。